【報ステ】「ハマスが追い込まれている」ハマスの狙いは?“人質映像”初めて公開(2023年10月17日)

【報ステ】「ハマスが追い込まれている」ハマスの狙いは?“人質映像”初めて公開(2023年10月17日)
イスラム組織『ハマス』は日本時間17日午前4時26分、イスラエル人の人質だとする映像を初めて公開し、取引に持ち込む構えを見せ始めています。

映し出されたのは腕を治療中の女性でした。10センチほどの傷を縫った痕、そしてガーゼは新品のようです。イスラエルとフランスの二重国籍を持った人質とみられています。

人質とされるミア・シェムさん(21):「私はミア・シェム。21歳でショハム出身です。現在ガザ地区にいます。土曜日の朝、スデロットでやっていたパーティーから帰ってきました。腕に深い傷を負った状態でガザへ連れてこられました。病院で3時間の手術を受け、薬ももらっています。大丈夫です。早く家族のもとへ帰らせてください。私の両親兄弟のもとへ。お願いします。なるべく早く、ここから出してください。お願いです。ありがとうございます」

この映像のデータを分析したニューヨーク・タイムズ紙は「映像の一部は少なくとも6日前に撮影された」としています。また、爆発音や空調音がしていて、ガザ地区内で撮影されたと考えられます。では、どういう部屋で撮影されたものなのでしょうか。

日本音響研究所 鈴木創所長:「女性の言葉の間に『クラクション音』が入っていました。建物が野原などの一軒家ではなく“ある程度の市街地”と想定されます。撮影された部屋で、これだけクラクションが出ている。地下・高層階とは考えにくいと思います。4階くらいまでの“低層の建物の中”になります。反響時間からすると、彼女から向かっている壁にあたって返ってくるまでに、だいたい10メートル弱くらい。正方形だとすると、20~30畳くらい大きい空間ではないか」

人質の状態はどうでしょうか。

日本音響研究所 鈴木創所長:「(波形に乱高下がない事から)“直ちに生命の危機がある”状態ではなさそうです。“銃を向けられて強制的に話をさせられている”状態ではない」

日本時間午後5時過ぎ、女性の家族が会見を行いました。

ミア・シェムさんの母:「思わず大声をあげて床に崩れ落ちました。最初は娘の姿を見て訳が分かりませんでしたが、娘が生きていて本当に良かったと感じるようになりました。(Q.娘さんへのメッセージがあれば…)とても愛している。すぐに会いたい」

人質の数について、イスラエルは外国人を含む199人と発表しています。一方のハマス側。人質は200~250人で、すでに空爆で22人が亡くなったと発表しています。また、外国人については…。

ハマス報道官:「戦闘時、彼らの国籍を知ることはできなかった。なので、我々の客人として扱おう。戦況が許すならば、彼らを解放するだろう」

人質については、その生死も含め不確定なことが多く、情報戦・心理戦の要素がより強くなってきました。

イスラエル軍報道官:「これはイスラエル国民に向けた、ハマスによる精神的テロ行為です。このような動画は、今後も多く公開されるでしょうが、我々はこの精神的テロ攻撃とも向き合って戦います」

16日夜、イスラエルに空襲警報が響き渡りました。アイアンドームでの迎撃も確認できます。エルサレムでも…。

醍醐穣記者:「今、ホテルの宿泊者の皆さんがシェルターに入りました。普段はホテルの倉庫として使われていますが、壁や扉が厚く造られていて、シェルターになっています」

この日、議会が開かれていましたが。サイレンによって中断。その後、再開した議会でネタニヤフ首相は…。

イスラエル ネタニヤフ首相:「私たちの目標は1つだけです。力を合わせて突き進み、勝ち抜くことです。ただ、そのためには決意が必要です。勝利までには時間がかかるのです」

過去最大規模になるとみられている、イスラエルによるガザ地区への地上侵攻。部隊は退避通告の出されている北部を包囲するように配置されています。軍の一部が駐留する場所には、ハマスによる襲撃現場も含まれていました。

ガザ地区北部には、いまだ10万人の民間人が残ったままです。避難先の南部への空爆も激化していて、これまでの死者は2778人。ガレキの下にも1000人が取り残されたままとされています。ただ、イスラエル側は…。

イスラエル レゲブ首相府上級顧問:「無実の市民が難しい状況にあることは理解しています。犠牲者の数は真実かもしれないし、そうでないかもしれない」

地上侵攻となれば、民間人の死者が万単位で増えるのは避けられそうにありません。アメリカのメディアは、侵攻開始は18日以降になるのではと分析しています。バイデン大統領が18日にイスラエルを訪問するからです。

アメリカ ブリンケン国務長官:「18日水曜日、バイデン大統領がイスラエルを訪問します。イスラエルと周辺地域、世界にとって重大な局面での訪問です。大統領は、両国の連帯と鉄壁の安全保障を改めて確約します」

ただ、この時期の訪問は、周辺国に間違ったメッセージを送りかねません。それゆえに、民間人や人質への配慮についてもクギをさす狙いがあるとされています。

ロイター通信:「バイデン大統領は、パレスチナとイスラエルの『2国家共存』を繰り返し訴えてきた。地上侵攻についての懸念やレッドラインを、ネタニヤフ首相に伝えるだろう」

◆武力衝突から10日…“人質映像”公開の狙いは?

東京大学・中東地域研究センターの鈴木啓之特任准教授に聞いていきます。

(Q.公開された映像から、何を感じましたか)

鈴木特任准教授:「ハマスは、こうした人質の画像を出して、イスラエルに揺さぶりをかけていると思います。それは政府に対してだけではなく、イスラエル社会に対してもです。ハマスが今回のように人質の画像を公開するのは初めてではありません。2006年に捕獲したイスラエル兵士の画像を公開しながら、イスラエルに捉えられているパレスチナ人の釈放を交渉してきました。今回、画像を出してきたのは、持っている交渉カードを見せてきていると考えるのが打倒だと思います」

(Q.武力衝突から1週間以上経ってからの公開。このタイミングをどう考えますか)

鈴木特任准教授:「ハマスがメッセージ判断を迫られたのだと思います。ガザ地区に対する空爆・封鎖が続き、地上侵攻もあるのではと言われている状態のなか、イスラエル側に対して交渉、条件を引き出そうとしていると考えられます。ただ、これは命が交渉の道具になっている状態です。ここに私たちは憂う必要があると思います。ハマスがそれだけ追い込まれている可能性もあります」

(Q.ハマス側は、外国籍の人質を『状況が許せば解放する』としています。“状況が許せば”とは、何を指していますか)

鈴木特任准教授:「現在、攻撃を受けるなかで、『緊急支援物資が入る』『限定的に停戦が行われる』といったタイミングを指しているのではないでしょうか。過去に例のない規模の人質が、現在、ガザ地区にいるとされています。それらを一気に解放するのは、残念ながら考えにくいです。外国籍の方や子ども・母親などが段階的に解放されていくと思いますが、その時に見返りを求めていく。人質が今後の交渉に使われると考えています」

ハマスは、人質の扱いについて、こうも話しています。

ハマス前最高指導者 メシャル氏:「人質にはイスラエル軍のガザ部隊高官も含まれている。イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人6000人の解放に向け“十分な力”を持っている」

つまりこれは、人質とイスラエルに囚われているパレスチナ人たちを交換するための取引をちらつかせているとみられます。イスラエルは、過去に人質交換に応じたことがあります。2011年、イスラエル兵1人を取り戻すために、収容されているパレスチナ人約1000人を釈放しました。

(Q.今回、イスラエルは取引に応じるでしょうか)

鈴木特任准教授:「容易には応じられないというのが、イスラエル国内の世論の立場で、政府もそうした立場を示さざるを得ないのだと思います。一方で、ガザ地区に人質が居続けることは、イスラエル社会・政府にとっても憂慮すべきことです。交渉のために様々な条件を提示することになるでしょう」

(Q.段階的な人質との交換もあり得ますか)

鈴木特任准教授:「あり得ると思います。ただし、今回の人質に関して、ハマスは解放の条件を明言していません。人の命が、様々な取引材料になってしまう。その点をしっかり認識しなければいけません」

(Q.イスラエルの地上侵攻が止まることはありますか)

鈴木特任准教授:「現在のところ、地上侵攻を止める要素が見えていません。今回、ハマスの戦闘員によって、民間人を含む1300人が殺害されました。ハマスの発表によれば、200~250人の人質がとられています。これは、イスラエルにとって前代未聞のことです。これに対する強い対応を踏みとどまる落としどころが見えてきません。ただ、地上侵攻がなかったからといって、問題が解決するわけではありません。現在も空爆が続いています。空爆がなくなったとしても、ガザ地区の封鎖状況は続きます。問題の根源がまだまだ残っていく。“戦後”という状態が果たして訪れるのか。注視しなければならない状態が続いていると思います」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
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